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不思議な話

不思議な話

星井畑のお稲荷さん

大多喜町の昔ばなし

1
むかし、むかしのことです。老川の星井畑(ほしいばた)に住む喜助(きすけ)は、牛を引いて野良仕事に出かけました。朝早かったので、朝飯を食べてきませんでした。
腹がグーグーなってしかたありません。ちょうどお稲荷(いなり)さんの前を通ると、おいしそうなお団子が供えられていました。腹は一段と大きな音でグーグーなりました。
お稲荷さんを通り過ぎたものの、どうしてもがまんできません。団子(だんご)の前までもどると、あたりをキョロキョロ見回し、団子をさっと口にほうばりました。

2
不思議なことはその後です。
牛を引っ張って、急いで田んぼに行こうとしましたが、歩いても歩いても、なかなか進みません。
お天道様が喜助の真上に来たのに、まだお稲荷さんから半里と進んでいません。やっと田んぼに着いた時には、お天道様は西の山に沈んでいました。
「こりゃ困った。今日は仕事ができねえや」
しかたなく、そのまま家に帰りました。

3
家に着いた時は、あたりはもう真っ暗。おまけにからだはガタガタふるえ、頭はガンガン痛みます。
家の者に今日の不思議な話をすると
「お供(そ)え物を盗んだ罰があたったんだ」
「お稲荷さんのたたりだ」
「明日、お供え物を持って行っておわびしろ」
とさとされました。
喜助は翌朝早く、団子をもってお稲荷さんの所に行きました。そうして、
「昨日は、お供え物を盗んですみませんでした。代わりにこれを食べてください」
とお稲荷さんに団子を供え、両手を合わせ、わびましたとさ。

おしまい
(齊藤 弥四郎 著)

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つか坊と姉ちゃん