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しりちがい

御宿町の昔ばなし

1
むかし、むかし、まぬけな子どもがいました。
ある日、子どもはきゅうにみずあめがなめたくなりました。
「とうちゃん、みずあめなめたい」
子どもは、ちちおやにねだりました。
「あとで、やるから、まってな」
ちちおやは、しごとちゅうで手がはなせません。
「いま、なめてー。みずあめおくれ、みずあめおくれ」

2
子どもがないていうので、ちちおやはしごとの手をやすめて、みずあめをとってやることにしました。
はしごをトントンとのぼって、ふりかえって子どもにいいました。
「みずあめのかめをおろしてやるからな。そこでちゃんとうけとるんだぞ」
「うん、わかった」
ちちおやは、みずあめのはいったかめをたなからおろすと、子どもにいいました。
「ほら。ちゃんと、しりをおさえろや」
「ああ、しりをおさえたよ」
「じゃあ、手をはなすぞ。いいな」
「だいじょうぶだよ、しっかりおさえてるよ。とうちゃん」

3
そこで、ちちおやがかめをもっていた手をはなすと、ガチャーン。
かめはゆかにおちて、こなごな。
みずあめは、ながれてしまいました。
「こら、しりをおさえていろといったではないか」
「おら、このとおりしりをおさえているだ」
子どもは、じぶんのおしりを手でしっかりおさえていたのでした。

おしまい
(齊藤 弥四郎 著)

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つか坊と姉ちゃん