大多喜町 西畑歳時記7月

文月

茶屋場の接待

宝永八年(一六八〇)頃、外出郷(現伊保田)と小沢又郷(現小沢又)との間に境界を巡って、激しい争いが起こり、これが裁定の為勝浦の代官所から代官が実地検分に来たが代官は、事実を曲げて外出郷の勝訴とした。
これに憤激した小沢又郷の若者八名と筒森郷の若者一名が、代官の籠を谷底目がけて突落した。後日捕らえられた若者達九名は村民達の嘆願も空しく、処刑されてしまった。 この霊を慰めんとして、両村の村境に、西国三十三番の観音様の石像を祭り、以後伊保田地区では、毎年大暑の二十日間この前に小屋掛けをして、村民が交替で中野、老川間の街道を往来する人々に湯茶の接待を数百年続けてきた。
しかし、この街道もバスが運行するようになり、従って徒歩で通る人もなくなったので、現在は行われなくなった。又その跡地には徳富蘇峰題字の接待記念碑が建立されているが、今では知る人も少なくなってしまっている。

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